セイロンシナモン – Ceylon Cinnamon

学名:Cinnamomum verum
別名:セイロンニッケイ
分類:クスノキ科ニッケイ属

セイロンシナモンとカシア

シナモンには大きく分けて2つ種類があります。

一つはセイロンシナモン。スリランカ原産の品種で、幹や枝の堅い外樹皮をはがし、柔らかい内樹皮を丁寧に丸めて乾燥して使用します。
もう一つはカシア。シナニッケイとも呼ばれ、中国やインドネシアなど様々な地域で栽培されます。こちらは外樹皮を残したまま乾燥して使用します。それをざっくり砕いて流通する場合もあれば、セイロンシナモンを模してクルっと丸めた状態で流通する場合もあります。丸めたものは巻き数が圧倒的に少ないので、セイロンシナモンとの違いは一目瞭然です。

シナモンの香りの違い

セイロンシナモンとカシアの香りの違いですが、セイロンシナモンはより繊細で上品、カシアは刺激と甘味が強いといわれます。

両者に含まれる香り成分はオイゲノールとシンナムアルデヒド、クマリンです。オイゲノールはクローブに含まれる刺激性の香り成分で、歯医者さんの麻酔薬に使用されるので意外と馴染みのある香りです。シンナムアルデヒドはまさにシナモンから名付けられた香り成分です。それ単体で匂う機会はあまりありませんが、シナモンの甘い香りを担っており、アルデヒド系成分に特有なフルーティさも感じられます。クマリンは以前紹介したトンカ豆や桜葉に含まれる成分です。

セイロンシナモンとカシアでは、オイゲノールとシンナムアルデヒド、クマリンの組成や絶対量が異なるのだと思われます。個人的には、カシアは3つの香りがバラバラに強く主張しているように感じます。一方セイロンシナモンは香り自体が弱いものの3つの香りが程よく調和しており“セイロンシナモンにしかない香り”を感じます。

念のためですが、もちろんカシアにもそれでしか表現できない良さや個性はあります。セイロンシナモンとの使い分け、あるいは両者のブレンドが大事なのです。

セイロンシナモンを使用したJOUFUKUの作品

Fougère 桜

『Fougère 桜』で使用したのはセイロンシナモンです。桜葉やトンカ豆のクマリンを強調するならカシアを使用した方がいいようにも思われます。しかし本作のテーマであるフゼア調のシャープさを表現するには、やはりカシアの主張の強い甘さは控えたく、セイロンシナモンのどこか青さも感じるフルーティさが適していると思いました。

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