キャラウェイシード – Caraway Seed

学名:Carum carvi
別名:ヒメウイキョウ(姫茴香)
分類:セリ科ヒメウイキョウ属

キャラウェイの香り

キャラウェイはセリ科の植物で、その種子はザワークラウトの風味付けに欠かせないスパイスです。その他はライ麦パンに練り込んだり、シュトーレンなどにも使用されます。イタリアの薬草系リキュール“カンパリ”にもキャラウェイが使用されます。

主な香り成分はカルボンとリモネンです。カルボンはスペアミントにも含まれる甘く清涼感のある成分で、キャラウェイの香りの決め手となっています。リモネンは柑橘類に普遍的に含まれる成分ですが、キャラウェイの風味においてそこまで支配的ではなく、微かな酸味を連想させる程度かなと個人的には思います。

キャラウェイと似たスパイス

キャラウェイは他のセリ科の種子系スパイスと非常に混同しやすいので注意が必要です。特にクミン、フェンネル、ディルと間違えられやすいです。

まずクミンは見た目が似ています。本当に似ています。小分けにした場合はそれとわかるようにシールを貼っておかないと絶対に間違えます。クミンを使うつもりが間違ってキャラウェイを使った分にはそこまで違和感ないのですが、その逆は一気にカレー風味になるのでとても嫌ですね。

次にフェンネル。これは見た目が似ている上に、和名が“小茴香(ショウウイキョウ)”といって、キャラウェイの和名“姫茴香(ヒメウイキョウ)”と間違えやすいです。香りはどちらも甘く清涼感があり、両者ともに食後の歯磨きスパイスとして使用されてきました。ただし、甘味と清涼感が“カルボン”に由来するキャラウェイと違って、フェンネルは“アネトール”という成分に由来しています。キャラウェイの方がより抜け感があり、フェンネルはミルキーな粒子感がある印象です。

最後にディル(シード)。これは見た目がずんぐりむっくりしているので、シュっとしたキャラウェイとは見分けがつきやすいです。ただ、和名が“姫茴香(ヒメウイキョウ)”といってキャラウェイの和名と似ているどころか全く同じです。どうしてこんなことになったのかは割愛しますが、もし和名で流通している場合には注意が必要です。そしてキャラウェイとディルは香りもそっくりで、両者ともにカルボンとリモネンを主成分とします。しかしよく味わうと、ディルの方にはヒノキに似たウッド感があり、白身魚をディルと一緒に蒸すと最高に美味しいです。また、味わいに関しては、どちらもミネラル感がしっかりしていますが、ディルの方はともすれば「しょっぱい」と感じるほどミネラル強いです。

キャラウェイを使用したJOUFUKUの作品

Winter Anise White

Winter Anise White』ではアニスシードをメインハーブとしましたが、他にもキャラウェイやフェンネル、コリアンダーといった同じセリ科の種子のスパイスをたくさん使用しました。セリ科独特の甘く爽やかな風味を、少しずつずらして重ねることで、まさしく降り積もった雪のような階層的な風味を表現しています。

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