学名: Pimpinella anisum
別名:アニス、西洋茴香
分類:セリ科ミツバグサ属
アニスシードとスターアニス
アニスと名の付くハーブ(スパイス)は主にアニスシードとスターアニスの二つがあります。日本など東洋では「八角」の名で知られるスターアニスの方がメジャーな気もしますが、西洋では「アニス」といった場合は通常アニスシードの方を指し、スターアニスはその代替えとして名付けられました。
植物的にはアニスシードはセリ科の植物の種子、スターアニスはシキミ科の植物の果実で、全くの別物です。
しかし香りは類似しており、両者に共通するのは「アネトール」という甘く爽やかな香り成分です。
具体的なものに例えると、歯磨き剤または蒸留酒“アブサン”の香り。
昔の人は擦り潰したアニスシードで歯磨きをしていたといい、現在の歯磨き剤にもアネトール香料が添加されることがあります。またアブサンにはアニスシードやフェンネルなどアネトールを多く含むスパイスで香り付けがされるので、蒸留酒ファンの方には馴染深い香りかもしれません。
アニスシードとスターアニスの風味の違いですが、アニスシードの方がアネトールの香りが繊細で上品で、ミルキーな甘さと、セリ科特有の爽やかさのバランスが良いと感じます。一方、スターアニスはアネトールをよりダイナミックに感じ、ともすれば雑味ともとれるフルーティさ、スパイシーさがあります。味わいもスターアニスの方が旨味や酸味が強く、煮込み料理などにはスターアニスが適しているかもしれません。
アニスを使用したJOUFUKUの作品
Winter Anise White
『Winter Anise White』では、アニスシードとスターアニスを上手くブレンドして、アネトールの香りを押し出しつつも、どこか雪のような純白さと粒子を感じる繊細な香りを組立ました。
また、本作は同じアニスを使ったお酒でもアブサンや他のアニスリキュールと違って、「熱抽出→発酵」というプロセスを経ていることが面白いところで、これによりアニスの甘味よりも爽やかさが際立つ気がして、ビールらしい飲み口が魅力だと思います。