
学名:Dipteryx odorata
別名:クマルビーン、クマル
分類:マメ科トンカ豆属
概要
トンカ豆(Dipteryx odorata)は、マメ科クマル属の木になる種子を乾燥させたもので、クマルビーンとも呼ばれます。
主に南米(特にベネズエラ、ブラジル、ガイアナなど)の熱帯雨林が原産地です。
利用部位は成熟して落ちた種子で、黒褐色でしわしわした外見が特徴。とても強い芳香を持ち、バニラ・アーモンド・干し草・桜の葉などを思わせる複雑で甘い香りが最大の魅力です。
トンカ豆の香り・味わい
非常に濃厚で妖艶な甘さを持ち、バニラやアーモンド、桜餅の甘いニュアンスに、干し草やタバコのようなウッド感があります。
「パウダリーな香り」とも表現され、香水のベースノートに頻用されます。
少し齧るとナッツのような甘く脂っこいコクのある香りが鼻から抜けてきますが、その後の舌に残る苦味が強烈なため注意が必要です。
香りや苦味にはクマリンという成分が大きく寄与しています。クマリンは植物が乾燥・損傷・発酵などの過程で酵素反応により生成される成分ですが、トンカ豆では特に高濃度で含まれ、香りの主役となっています。
他にもバニリン(バニラ香)やベンズアルデヒド(杏仁香)、ラクトン類(ココナッツ香)などの成分も含まれています。
トンカ豆と比較されるハーブ・スパイス
バニラビーンズ

トンカ豆の代替え原料として最も一般的ですが、トンカ豆の方が複雑な香りで、クマリンの影響で桜の葉やアーモンドのようなニュアンスが加わります。
クルマバソウ
同じクマリンを多く含むため、干し草のような甘い香りが共通。ドイツのサワービール“ベルリナーヴァイセ”には、このクルマバソウのシロップが用いられます。
バイソングラス
イネ科の植物でクマリンを多く含みます。ポーランド産の“ズブロッカ”というリキュールのボトルの中に漬け込まれている植物です。
なお、後述のクマリンに対する懸念から、アメリカへ輸出されるズブロッカにはバイソングラスが入っていません。
大島桜の葉
日本人がクマリンの香りを探そうと思うと、最も身近なのが桜の葉です。いわゆる“桜餅”の香りです。桜の種類はなんでもいいわけではなく、オオシマザクラという品種がクマリン香が顕著といわれます。
トンカ豆の利用
古今東西の利用
19世紀~20世紀初頭には香水・タバコ・医薬品の香料として広く使われていました。
フランスをはじめヨーロッパでは今でも洋菓子・リキュール・香水の重要な素材として愛されています。
かつてはアメリカでも使われていましたが、現在ではクマリンの肝機能への悪影響が懸念され、トンカ豆そのものやクマリンの食品添加物としての使用が禁止されています。
家庭での利用

スイーツ:
最も一般的なのはスイーツへの香りづけです。特にクリーム系と相性が良いです。クレームブリュレ、カスタードクリーム、アイスクリーム、プリンの他、ガナッシュやパウンドケーキに少量刻んで使用します。
ベシャメルソースの風味付け:
ベシャメルソース(ホワイトソース)にほんの少量、隠し味として加えることがあります。同じくベシャメルソースに使われるナツメグとの相性は抜群です。
飲み物:
コーヒーやココア、紅茶などと一緒にお湯で抽出。
お酒:
ラムやウォッカに漬け込んで自家製リキュールやカクテルに。
利用上の注意
主成分のクマリンは大量摂取で肝臓に負担をかける可能性があるため、過剰使用は避けてください。
目安として1回に使うのは1/4~1/2粒程度(すりおろして0.1~0.3g前後)が安全とされています。
トンカ豆を使用したJOUFUKUの作品
ビール(発泡酒)
『Fougère 桜』

桜葉を使用したビールで、その香りの補強にトンカ豆も使用。クマリン香をベースに、トップにラベンダーを合わせて、香水のフゼア調を表現しました。
その他ノンアルコール
『JOUFUKU Flower Cola』
エルダーフラワーやハイビスカスなどの花を使用した醸馥オリジナルレシピのコーラです。
コーラで必ずと言っていいほど使用されるバニラの代わりにトンカ豆を使用して、赤い花のようなスパイシーなニュアンスを表現しています。
CRAFT BEER BASE leaf(グラングリーン大阪北館2F) 店内にてご注文していただけます。

